変わる必要のないもの。 橘ラーメン(下関市上新地町)
“「下関のラーメン」として永く愛され続けられるラーメン”
本州最西端のまち、下関。
夜の帳がおりる頃、繁華街の喧騒から少し離れた場所でひっそりと営業を始めるラーメン屋がある。
レトロな外観と赤ちょうちんに誘われ入店すると、カウンター席のみの狭い店内。
昭和の時代に戻ったようで、居心地は悪くなく、どこか懐かしささえを感じられる。
寡黙そうな大将がすべての作業を一人で黙々と行っており、メニューが、ラーメン(※)、ギョーザ、ライス、おにぎりのシンプルな構成なのも頷ける。
※ラーメン、チャーシューメン、大盛り有、メンマ入り有
ラーメン(550円)を注文。
最近あまり見かけなくなった小振りのどんぶりで提供され、レトロ感が増し、期待が高まる。
具は、チャーシューとネギとわかめ。
シンプルなビジュアルが食欲をそそる。
豚骨ラーメンのトッピングとして「わかめ」は珍しいが、食べてみると全く違和感はなく、むしろ美味しい。
鼻をくすぐる豚骨の香りに我慢できずに、スープを一口。
いい意味での豚骨臭さを残しつつ、それでいて飲みにくさを感じさせないバランス感覚に優れた極上のスープ。
やや強めに効いた塩分が繁華街で程よく呑んできたお客さんの胃袋を掴むのであろう。
麺は、昔ながらの下関ではおなじみのモチモチの中太ストレート麺で、噛み応えもあり、スープとの相性もばっちりである。
忘れていけないのが、チャーシュー。
口に入れた瞬間、大将の丁寧な仕事ぶりが理解できる絶品。
でしゃばってはいないが、スープや麺に勝るとも劣らない、名バイプレイヤーとしての存在感を放っている。
次回はチャーシューメンにしようと心に誓う。
豚骨ラーメンの本場と言われる博多や北九州の豚骨ラーメンとは異なるが、決して負けてない、いや、もはや勝ち負けではないと感じさせてくれる一杯。
「下関のラーメン」として永く愛され続けており、そしてこれからも変わらず愛され続けていくであろうラーメン。
お世辞にも綺麗とは言えない店内で、お世辞にも愛想がいいとは言えない大将が作る、お世辞抜きで美味しいラーメンが、そこにはあった。
ごちそうさまでした。
[橘ラーメン]
山口県下関市上新地町
17:00~24:00
定休日:火曜日
※最新の営業時間・定休日はお店にご確認下さい
サワー伯爵 30代 会社員
田舎とはかけ離れたような、でも嫌味のないスタイリッシュなファッションセンスと調和を好む社交性は正に「ナポリ野郎」。
最近はB級グルメを探求するあまり体重が増加しおしゃれに支障が出てきたことが悩み。
そんなサワー伯爵の「B級グルメコラム」